染料系インクの耐水性能は?

概要

1.実験の目的

名刺のサンプル 最近というわけでもないですが、自分や家族、友人の名刺を作る機会があったのですが、手持ちのプリンターがエプソンPM-A750というひと昔以上前の機種でさらに使っているのは「IC4CL32」という染料系の4色インクです。(たまたま純正品を買ってありました。)
エプソン純正インクは、4色セットで約4000円、印刷条件にもよりますが黒またはモノクロ印刷でA4用紙200枚以上印刷できます。
ただし、ヘッドクリーニングを頻繁に(たとえば、印刷のつど2〜3回クリーニングを実行するなど)行うと数十枚程度の印刷でインクがなくなる場合があります。
写真は左がPM-A750、右がPX-G5100のものです。
PM-A750が染料系インクであるのに対し、PX-G5100は顔料系インク「ICxx33」8色なので画質などは比べるべくもないと思ってしまいますが、文字印刷に限ればPM-A750もそれほど見劣りしません。


2.染料系インクの特徴は、

巷でよく聞く染料系インクの特徴は、
・発色が比較的良い。
・温度/湿度/紫外線/酸アルカリなどの耐候性が弱い
・顔料系インクに比べて多少割安。
・顔料系インクに比べてプリンターヘッドのノズル(インクの吹き出し口)が詰まりにくい
といわれていますが、どの程度の性能なのか確認して見ます。


ヘッドのノズル目詰まりについて 

1.使用頻度が月当たり1回以下の場合

黄色インクが詰まって印刷ができません。 たぶん、この写真のようにノズルの目詰まりがしばしば発生すると思われます。

※顔料系インクでは、染料系インクより目詰まりしやすいといわれていますので、週に1回以上程度の頻度でプリンターに灯を入れる必要があるでしょう。

2.

黄色インクに黒が混ざって画像は酷い状態です。 黄色インクが正常に出ないため黒を混入して帳尻あわせしています。
おかげで画像は汚れたようになり、おまけに黒インクも減っていきます。

プリントヘッドの目詰まりは、複合的に起きているように感じます。
黒が目詰まりしていて、ヘッドクリーニングしたら今度はマゼンタや黄色が目詰まりを起こすというように、どれかが良くなると別の色が悪くなるといった「いたちごっこ」のような症状が続きます。
こんなときは、ちょっともったいないですが、純正インクを一度に全部交換すると正常になるようです。
ヘッドクリーニングで無くなったインクを順に補充していると新しいインクも半分以上使ってしまうことになると思います。



染料系インクの耐性実験

実験の開始 

1.実験材料

実験に使う溶液 今回の実験では、溶液に対する耐性を調べてみます。
使用する溶液は、画像のように「水道水」・「食用酢」・「アルコール(20%)」とします。
染料系インクの大敵である各種の水溶液を印刷後数日置いた用紙につけてみます。
私の今までの経験による予想では、アルコールをつけるとほぼ瞬時にインクが溶けて滲み出し、食用酢では色が変わり、水道水でも2〜3分で読み取り不能なほどに滲んでしまうと考えます。

2.実験結果

黒インクへ水溶液をつけた場合 黒インクを主体の実験として、Windowsのテスト印刷に溶液をつけてみます。
写真は、約3分置いたものです。
予想よりはるかに良好な状態です。
インクの溶け出しもあまり多くなくティッシュペーパーで水分を吸い取れば十分判読できそうです。

黒インクへ水溶液をつけた場合 今度は、カラーインクの耐性を調べてみます。
テスト用に「黄色(イエロー)」、「マゼンタ」、「水色(シアン)」の各色で文字を印刷し溶液をつけてみます。
こちらも黒インクに負けず劣らず良好な結果でした。


顔料インクでの結果 結果の比較用に、知人の所有する「エプソン PX-G5100」のIC33タイプの顔料インクで対照実験してみました。
さすがに顔料インクだけあって滲みや変色は、ほとんど見られません。
わずかに「文字が滲んでいるかな?」というレベルです。



感想 

実験前の予想は大はずれでした。
Windows95/98世代の染料インクのイメージと今のインクの性能とでは雲泥の差がありました。
染料系とはいえ、インクの定着力は数日程度の乾燥時間で、耐水性はビジネス文書でも必要十分であることが分かりました。
しかし名刺印刷の場合、水濡れ、擦れなどによる小さい文字の判読性の低下は、顔料インクに劣ることは否めません。
それでも、ここでの結論としては染料系インクの名刺印刷は、名刺の使用目的(個人名刺やデザイン重視の名刺など)によっては使えそうだと言えるでしょう。

以上、簡単ですが染料系インクの実験でした。
機会があれば、耐候性の実験も追加したいと思います。


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